◆養育費の支払い終期
通常、養育費の支払い義務は、成人に達するまでですが、現在では、大学へ進学することが珍しくない
ことですので、大学卒業まで養育費の支払いを延長することも一般に認められています。
大学卒業まで養育費を支払うという取り決めを公正証書にする場合、注意しなければならないのは浪人
・留年・中退した場合のことです。
単純に大学卒業まで支払うと記載した場合には、そのような事態が起こった時に、疑義が生じる恐れが
あります。
ですので、大学卒業までと記載する場合には、その点についても記載しておくことが望ましいでしょう。
また、浪人・留年・中退などの事態を考慮しないのであれば、満22歳に達する日の属する月までという
風に記載する方法もあります。このほうが、疑義が生じる恐れがありませんので良いかもしれません。
◆養育費算定表の見方
養育費算定表における年収とは、給与所得者の場合は、源泉徴収票に記載されている税引前の金額、
自営業者の場合は確定申告した所得金額に基礎控除額や青色申告控除額等を加算した金額のことです。
児童扶養手当や児童手当を受給している場合でも、収入には算入しません。また、実家から援助を受けて
いる場合も、収入には算入しません。
無職であれば、必ずしも0となるとは限らず、働けるのに働いていない場合、実際の稼働能力をもとに収入
を算定することもあります。
養育費算定表の金額は、通常、公立の中学校、高校へ進学した場合を想定しています。
ですので、私立の中学校や高校へ通わせる場合には、養育費算定表の養育費額では不足することもあり
えますので、養育費を増額したり、養育費とは別に、入学金についての取り決めを行うことも考えられます。
入学金についての取り決めを公正証書に記載する場合には、負担する金額を明確にしなければ、強制執
行を行うことができませんので注意が必要です。
各事案によって養育費の金額は変わってきますが、養育費算定表は、その点についても考慮されており、
養育費算定表の幅を超える金額の養育費の算定を必要とするのは、著しく不公平となるような特別な事情
がある場合に限られるとした判例も出ています。
◆養育費はいつまで請求できるか
養育費を受け取っていなかった場合、過去の分についても請求することは可能でしょうか。この点につい
て、判例の見解は分かれています。
離婚時からの分の請求を認めたものもあれば、請求時からの分しか認めなかったものもあります。
養育費も毎月支払われるという形態が多いですが、民法上は、定期給付金の時効は5年となっています。
また、権利者が養育費をたて替えたことにより得た不当利得の返還を請求するという考え方をとれば、
時効は10年となります。
このように、いつからの分まで養育費の支払いを認めるかについては、様々な見解があり、請求時から
の分しか認められないこともあり得ますので、養育費を受け取っていない場合には、早めに請求するの
が望ましいといえます。
ですが、離婚後にトラブルにならないように、養育費について、ちゃんと取り決めを行い、離婚するのが
一番です。
その際には必ず、書面にして残しておく必要があります。公正証書にしておくのが最も望ましいといえます。
◆養育費についての統計
『厚生労働省平成15年全国母子世帯調査』によると、養育費の取り決めがあるのは34%であり、現在受
けているのは17.7%、受けたことがあるは15.4%、受けたことがないのは66.8%です。このような背景
には、協議離婚では養育費に関する合意がなくても離婚できることも要因としてあげられます。
同じ統計の平成18年度のものをみると、養育費の取り決めがあるのは38.8%であり、養育費の取り決め
をしている人の割合は増加しています。養育費の取り決め率は、協議離婚の場合31.2%、協議離婚以外
の離婚の場合77.7%ですので、協議離婚においては養育費についての話し合いがきちんとなされていな
いのが実情のようです。
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